高貴な野蛮人

啓蒙時代のヨーロッパで創作された架空のキャラクター。封建制や帝国、資本など文明に随伴すると思われる不都合を批判するために、文明の外側にあって善良な他者として、ヨーロッパ人(文明人)自身によって希望・期待される。

グレーバーやスコット、 クラストル の議論によれば、このようなキャラクターが実在する可能性は相当に低い。野蛮人・未開人とは、文明に触れたことがない無知で無垢な人々というよりも、文明の不都合を知り尽くした結果として、国家の枠組みから逃げ出したり、そのような権力の発生に意図的に抵抗する社会を作り上げた人々である。

むいむいの森では、積極的に「高貴な野蛮人」の神話を否定して解体する。例えば、子どもを「高貴な野蛮人」の写像として、無知で無垢な人々とみなすことに疑いを持つ。プレーパークや自然体験などの活動は、「高貴な野蛮人」の愚かな模倣ではなく、文明の不都合を知り尽くし、オルタナティブを探求する、工夫と創意と自由に富んだ、極めて知的な活動である。